過失割合に関するよくあるご質問
「過失割合はどのように決まるの?」「交通事故に関する用語がわからない」などのご質問にお答えします。
過失割合について
過失割合は誰が決めるのですか?
当事者双方に過失のある事故の場合、通常は契約している保険会社の担当者が協議し、最終的にはお客さまの同意をいただいたうえで、過失割合を決定します。
いずれかの交渉窓口が弁護士になることや、調停や裁判を経て決定することもあります。
過失割合はどのように決めるのですか?
実際の事故と類似した過去の裁判例から、基準となる過失割合が示されています。その基準に対して、実際の事故現場の状況や走行状況などに応じて過失割合を修正しながら、決定していきます。
交通事故証明書には過失割合が記載されていますか?
いいえ、交通事故証明書に過失割合は記載されていません。
交通事故証明書は、事故発生の事実を証明するものであり、事故の発生日時・場所・当事者・車両番号等の事実が記載されていますが、具体的な事故状況や過失割合は記載されていません。
なお、交通事故証明書は、事故後に警察へ届け出を行うと、警察からの情報に基づいて、自動車安全運転センターの各都道府県事務所が発行するものです。自動車保険の請求にあたって必要な書類ですが、通常は保険会社が取得しますので、ご自身で取得いただく必要はありません。
動いている四輪車同士の事故の場合、必ず両方に過失がありますか?
いいえ、必ずしも双方に過失が発生するわけではありません。
例えば、一方がセンターラインを越えて対向車線の車両と衝突した事故や、一方の赤信号無視が原因で起きた事故、道路混雑時の追突事故など、双方の四輪車が動いていても、一方には過失が問われないケースがあります。
ただし、これらの事故においてすべてこの結果となるわけではなく、実際の事故状況に応じて過失割合は決定されます。
交通ルールについて
「道路交通法」とは、何ですか?
「道路交通法」とは、道路における危険を防止し、交通の安全と円滑をはかり、道路交通に起因する障害の防止を目的とした法律で、道路交通の基本ルールが定められています。
「徐行」とは、時速何キロのことですか?
「徐行」とは、車両が直ちに停止できるような速度のことをいいます。道路交通法に具体的な数字の記載はありませんが、一般的には、時速10キロメートル以下とされています。
「一時停止」とは、何ですか?
「一時停止」とは、車両が一時的に止まること(車輪の回転が完全に止まっている状態)をいいます。時間の長短は問いません。
なお、一時停止すべき場所は、道路標識等の設置された地点(例えば停止線)ないしは交差点の直前であり、他の交通の安全を確認しえる地点ではありません。よって、交差点に進入する際には、まずは停止線の直前で一旦停止を行い、その後、徐行して左右の見通しの可能な地点まで進み、必要があればそこで再度停止する必要があります。
「進路変更」とは、何ですか?
「進路変更」とは、進行方向を変えずに進路(通行している場所)を変えることです。車線変更ももちろん「進路変更」にあたりますが、例えば路上駐車車両を避けるために、車線を変更せずに方向を変えて前方に進むことも「進路変更」になります。
なお、進路変更の際には、進路変更をする3秒前に合図(ウィンカーなど)を出し始め、進路変更が終了するまで合図を出し続けなければなりません。
「幹線道路」とは、どのような道路ですか?
交通事故の過失割合を検討する場合の「幹線道路」とは、歩道・車道の区別があって、片側2車線以上で車両が高速で走行する、通行量の多い国道や一部の県道を想定しています。
「優先道路」とは、どのような道路ですか?
「優先道路」とは、道路標識等により優先道路と指定されている道路や、センターラインや車線が交差点の中を通り抜けている道路を指します。
通常、信号がなく、左右の見通しのきかない交差点に進入する際には徐行する義務がありますが、優先道路を走行している場合には徐行の義務がありません。
保険金のお支払いについて
事故の相手方と直接交渉して過失割合を決めてもよいのですか?
当事者間で決定することは可能ですが、必ずしも当事者間で決めた過失割合にしたがって、保険金をお支払いできるわけではありませんのでご注意ください。
自動車保険(任意保険)において、対人賠償や対物賠償は「法律上の賠償責任を負担することによって被る賠償損害に対して、保険金が支払われる」ものであると約款で規定されているのが一般的です。したがって、法律上の賠償責任の範囲を超える分については、保険金をお支払いすることができません。
当事者間での交渉は避け、まずは保険会社にご相談ください。
対人賠償や対物賠償の補償金額を「無制限」に設定しておけば、過失割合を問わず、無制限に保険金を支払ってもらえるのですか?
いいえ、無制限に保険金をお支払いできるわけではありません。
自動車保険(任意保険)において、対人賠償や対物賠償は「法律上の賠償責任を負担することによって被る賠償損害に対して、保険金が支払われる」ものであると約款で規定されているのが一般的です。したがって、法律上の賠償責任の範囲内で、無制限に保険金をお支払いすることはできますが、その範囲を超えて保険金をお支払いすることはできません。
自動車保険(任意保険)で決定した過失割合は、自賠責保険でも適用されるのですか?
自賠責保険は被害者救済を目的としていますので、自動車保険(任意保険)で決定した過失割合はそのまま適用されず、目安としてケガをした人に7割以上の過失があると考えられる場合のみ、過失割合が関係します。
たとえば、過失割合が
A(ケガをした人[被害者]):B(加害者)=60:40 の場合、
自賠責保険からA(被害者)に全額保険金が支払われますが
過失割合が
A(被害者):B(加害者)=70:30 の場合、
自賠責保険からA(被害者)に支払われる保険金が減額されます。