自動車保険の特約とは?主な種類や選び方を解説
2024年10月4日
自動車保険の特約は、基本の補償にオプションで付帯するものです。特約により補償範囲を広げたり、反対に限定したりできますが、種類が多く、どのように選べばよいのか悩むこともあるかもしれません。
この記事では、特約とは何か、また、どのように選ぶのかについて解説します。ぜひ参考にして、ご自身に合う自動車保険をデザインしていきましょう。
自動車保険の特約とは?
自動車保険の特約とは、自動車保険の基本の補償にオプションとして付帯できる補償のことです。特約をつけることで、自動車保険で対応できる補償の範囲を広げたり、反対に補償範囲を限定したりすることができます。
基本の補償は保険会社によって異なるため、確認しておきましょう。イーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)では、「相手方への補償」として対人賠償と対物賠償、「お車によるケガの補償」として人身傷害、「ご自身のお車の補償」として車両保険が基本の補償となります。
また、特約の種類も自動車保険によって異なるため、内容を理解し、必要な特約を網羅して契約するようにしましょう。なお、特約には自動的に付帯される「自動付帯特約」と、任意で付帯できる「任意付帯特約」があります。自動付帯特約は、その自動車保険を契約すると必ず付帯される特約であり、外すことはできません。
自動車保険の主な特約
保険会社によって選択できる特約は異なります。主な特約を&eを例に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
なお、自動車保険によっては同じような補償内容でも特約の名称が異なることもあります。契約する前に確認しておきましょう。
相手方への補償に関する特約
自動車事故における相手方への補償に関する特約をご説明します。
対物超過特約
対物賠償を付帯していると、自動車事故で相手方のお車を壊したときに、相手方が負担した修理費などが補償されます。しかし、対物賠償は原則として相手方のお車の時価額までしか補償されないため、修理費が時価額を超えるときには保険では全額支払えないかもしれません。
対物超過特約は、お車の時価額を超える修理費が発生したときに補償される特約です。補償される場合は、時価額を超える修理費に運転者の過失割合を乗じた額が保険金として支払われます。スムーズな示談交渉のためにも、対物超過特約を付帯することを検討しましょう。
お車によるご自身のケガの補償に関する特約
お車によるご自身のケガの補償に関する特約をご説明します。
入院時諸費用特約
人身傷害を付帯していると、自動車事故でケガをしたときの治療費や休業損害、精神的損害などが補償されます。しかし、治療費は原則として治療にかかった実費を指すため、差額ベッド代などは支払われない可能性があります。
入院時諸費用特約は、人身傷害のお支払い対象となる事故で3日以上入院された場合などに、差額ベッド代やホームヘルパー代、駆けつけたご家族の交通費や宿泊料などが補償される特約です。入院時に発生する諸費用の負担軽減に役立ちます。
ご自身のお車の補償に関する特約
ご自身のお車の補償に関する特約としては、以下の特約があります。
- 新車買替特約
- 車両全損時諸費用特約
- 車内身の回り品特約
- 事故時レンタカー特約
- 事故時帰宅・宿泊特約
各特約について説明します。
新車買替特約
せっかく新車を購入したにもかかわらず衝突事故でお車が大破してしまった場合には、できれば修理するよりも新車に買い替えたいと思うものです。しかし、お車が全損※1の場合を除き、車両保険で補償されるのは損害額(修理費)から免責金額を差し引いた額までとなります。したがって、新車価格との差額は自己負担になってしまいます。
新車買替特約とは、お車に大きな損害を受けた場合に、代替として購入するお車の購入費用に対して新車保険金額を限度に保険金をお支払いする特約です。「新車を運転していたから、事故後も新車に乗りたい」「大破した車を修理して乗ることに抵抗がある」という方は、新車買替特約を検討してみましょう。
ご契約のお車の修理費が車両保険金額以上となる場合、ご契約のお車が盗取され発見されなかった場合またはご契約のお車が修理できない場合をいいます。
車両全損時諸費用特約
車両保険のお支払い対象となる事故によりご契約のお車が全損となり、廃車や買い替えが必要となった場合、廃車や買い替え時の諸費用は車両保険では支払われません。
車両全損時諸費用特約を付帯していると、廃車や買い替えにかかる諸費用に対して、車両保険金額の10%(上限20万円、下限10万円)が支払われます。
廃車・買い替え時にかかる諸費用としては、以下が挙げられます。
廃車する際の諸費用 | 解体業者に引取依頼をする費用、解体費用、抹消登録費用 など |
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買い替え時の諸費用 | 自動車取得税・自動車重量税、登録・車庫証明取得の費用やその代行費用、納車費用 など |
新車ではないので新車買替特約はつけられないが、万一全損になってしまったときに、買い替え費用の自己負担額を少しでも抑えたい方におすすめです。
車内身の回り品特約
車内身の回り品特約とは、車両保険のお支払い対象となる事故での、お車の車室内・トランク内に収容またはキャリアに固定された個人所有の身の回り品に損害が生じた場合に、保険金をお支払いする特約です。
例えば、自動車事故でお車に積んでいたキャンプ用品やスポーツ用品が壊れたときなどに補償されます。
お車に色々な物を多く積む機会がある方には特におすすめの特約です。
事故時レンタカー特約
事故時レンタカー特約とは、車両保険のお支払い対象となる事故により、ご契約のお車が修理などで使用できなくなった場合に、レンタカーを借り入れる費用を補償する特約です。
お車で通勤している場合などは、修理中もお車が必要です。代わりとなるお車がない場合は、レンタカーを借りなくてはいけません。修理が長引くとレンタカーの費用もかさむため、事故時レンタカー特約を検討してみましょう。
事故時帰宅・宿泊特約
事故時帰宅・宿泊特約とは、車両保険のお支払い対象となる事故によってご契約のお車がレッカー搬送された場合に、帰宅や目的地までの移動にかかる交通費を補償する特約です。また、臨時で宿泊が必要となった場合には宿泊費も補償されます。
お車で遠くまでよく出かける場合は、万一に備えて、事故時帰宅・宿泊特約を検討してみましょう。
その他の補償に関する特約
その他の補償に関する特約としては、以下の特約があります。
- 弁護士特約
- 個人賠償特約
- ファミリーバイク特約
各特約について説明します。
弁護士特約
弁護士特約とは、「もらい事故」などで相手方へ損害賠償を請求する際の弁護士費用などを補償する特約です。
運転者にはまったく過失がない「もらい事故」では、保険会社は運転者に代わって示談交渉ができません。「もらい事故」の場合には、保険会社が示談交渉をすることが弁護士法違反にあたるためです。
弁護士特約を付帯していると、相手方へ損害賠償を請求するために必要となる弁護士費用や法律相談費用が補償されるため、事故時の負担を軽減することができます。
なお、弁護士特約を付帯していても、あらかじめ当社に相談せずに弁護士に相談した場合は補償されません。万一のときに補償を受けるためにも、特約の補償内容を確認しておくようにしてください。
個人賠償特約
個人賠償特約とは、主に運転される方やその家族が日常生活における偶然な事故によって、他人にケガをさせるなどの法律上の損害賠償責任を負った場合に補償される特約です。
例えば、次のようなケースで補償されます。
- 自転車で他人にケガをさせた
- 飼い犬が他人を噛んで、ケガをさせた
- 子どもが他人のものを壊した
- 自宅マンションからの水漏れで階下の部屋を水浸しにした
個人賠償特約を付帯していると、誤って他人にケガをさせたときの治療費や、他人の物を壊したときの修理費、訴訟費用などが補償されます。日常生活で起こり得る損害賠償責任に備える特約です。
ファミリーバイク特約
ファミリーバイク特約とは、補償の対象となる方が原付バイクを運転中に事故にあった場合、ご自身のケガや、事故の相手方に対して法律上の損害賠償責任を負ったときの損害(事故によって生じた治療費や修理費など)を補償する特約です。
なお、ファミリーバイク特約は一般的に「自損傷害型」と「人身傷害型」の2つのタイプに分けられ、ご自身のケガに対する補償内容が異なります。
- 自損傷害型
相手方のいない自損事故や、相手方に過失がない事故などにより死傷された場合に、治療費などを補償します。 - 人身傷害型
相手方に過失がある事故によって死傷された場合にも補償を受けることができます。
&eのファミリーバイク特約は、「人身傷害型」です。
補償範囲を限定して保険料を抑えるための特約
特約の中には、補償範囲を広げて補償を充実させるものだけでなく、補償範囲を限定して保険料を抑えることにつながる特約も存在します。保険料を抑えるための特約としては、以下の特約があります。
- 運転者年齢条件特約
- 運転者限定特約
運転者年齢条件特約
運転者年齢条件特約とは、運転者の年齢を限定することによって、保険料を抑える特約です。対象となる自動車を複数の方が運転するときは、1~3のうち、ご契約のお車を運転される最も若い方の年齢に合わせて選びます。
- 主に運転される方(記名被保険者)
- 1の配偶者
- 1または2と同居している親族
1~3の中で運転者年齢条件より若い方が運転された事故については、補償できませんのでご注意ください。
なお、別居している未婚の子など、1~3以外の方が運転された場合は年齢を問わず補償します。
- 運転者限定特約を付帯した場合は、限定された範囲の方がお車を運転中の事故に限り補償します。
- 同居している親族とは、同一の家屋に居住する「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」をいいます。
運転者年齢条件は自動車保険によって異なります。&eでは、次の4つの運転者年齢条件区分からお選びいただけます。
- 年齢問わず補償
- 21歳以上補償
- 26歳以上補償
- 30歳以上補償
運転者限定特約
運転者限定特約とは、運転者を限定することで、保険料を抑える特約です。&eでは、限定する運転者には、次の選択肢があります。
○:補償されます ×:補償されません
自動車保険の特約の選び方
自動車保険には数多くの特約があります。どの特約を選ぶか、あるいは選ばないかによって、補償範囲が変わるだけでなく、保険料も変わるため、特約選びは慎重に行いましょう。
特約の選び方に迷ったときは、補償の必要性と保険料に注目してみましょう。
必要性が高いか
お車を運転する方によって、必要な補償は異なります。例えば、自動車を複数所有している場合なら、万一、お車の修理が必要になったときは他の車を使えるため、事故時レンタカー特約は不要の可能性があるでしょう。
特約のなかには、付帯すると保険料が高くなるものがあります。負担を抑えて自動車保険に加入するためにも、必要性が高いものだけを選んで保険料負担を抑えるのも選択肢の1つです。
また、ご自身やご家族が他のお車で加入している自動車保険に「補償内容が同様の保険契約」がある場合などには、補償が重複することもあります。原則として1つの事故に対して発生した損害額以上の保険金は支払われないため、2つ以上の保険に加入していても二重には受け取れません。
例えば、弁護士特約や個人賠償特約などは、主に運転される方本人とご家族もカバーされることがあります。保険料を抑えるためにも、補償の重複がないか確認しておきましょう。
補償の重複をなくして保険料を抑える方法について、詳しくはこちらをご覧ください。
保険料は予算内か
補償の範囲を広げる特約を付帯すると、保険料が高くなることがあります。
無理なく支払うためにも、予算に合っているか確認しておきましょう。保険料が予算を超えるときは、特約を見直したり、複数の自動車保険を比較したりしてみてください。
まとめ
自動車保険によって特約の種類や補償内容が異なります。特約で補償される範囲を確認し、ご自身に合う自動車保険、特約を選ぶようにしてください。
&eは対人賠償や対物賠償※4、人身傷害などの基本の補償が自動付帯されている自動車保険です。ご自身やご家族だけでなく、相手方の損害に対しても幅広くカバーされます。
また、その他の補償や特約については必要に応じて付帯できるため、ご自身に合った保険契約をデザインできます。補償の重複が生じないようにデザインすれば、保険料を抑えることも可能です。ぜひご検討ください。
一部の契約では付帯できない場合があります。
監修:熊谷 正和
2005年7月に埼玉県川口市で開業後、ファイナンシャルプランニングを軸としたコンサルタントとして活動。開業当初から、個人のライフプランから法人向けのコンサルティングまで幅広く支援。得意分野は、住宅ローン・保険・資産運用などのライフプラン相談。毎年数百世帯、述べ2,000世帯を超えるライフプラン相談の実績を持つ。