自損事故(単独事故)は自動車保険で補償される?
起こしたときの対処法や注意点とともに解説2024年8月9日
自損事故とは相手方がいない事故のことで、単独事故とも呼ばれます。例えば、バックしていて電柱にぶつけた、自宅ガレージに駐車しようとして壁でこすってしまったといったケースなどが、自損事故に該当します。
自動車保険といえば相手方のある事故への備えというイメージが強く、ご自身のうっかりで起こした自損事故は自動車保険で補償されるのか、疑問に思われる方もいるでしょう。
この記事では、自損事故の概要と共に自動車保険で補償されるかどうかを紹介します。また、自損事故を起こしたときの注意点もあわせて解説します。
自損事故(単独事故)とは?
自損事故は相手方のいない、ご自身に100%の過失がある事故で、単独事故とも呼ばれます。
例えば、電柱やガードレール、家屋などへの衝突、山道を走行中の崖からの転落などが自損事故にあたります。
自損事故の場合でも直ちに警察への届出が必要です。
車の事故は、任意の自動車保険の他、自賠責保険でも補償されます。しかし、自賠責保険は人身事故の被害者の救済を目的としており、相手方がおらず、他人を死傷させない単独事故は自賠責保険の適用外です。
自損事故(単独事故)は自動車保険で補償される?
先述のとおり、自損事故は自賠責保険の補償から外れます。そうなると、ご自身や同乗者のケガ、壊したモノの修理費や損害賠償などによる経済的負担が気になる方もいるでしょう。
任意の自動車保険に加入していれば、自損事故への補償を受けられる可能性があります。しかし、契約内容によって補償が異なるため、いざというときのために、自損事故を起こしたときの補償について確認しておくと安心です。
それでは、任意の自動車保険で受けられる自損事故の主な補償を紹介します。
自損事故(単独事故)での
人に対する補償相手方のいない自損事故でも、車に乗っている方がケガを負う可能性もあります。自損事故で運転者や同乗者が死傷した場合には、人身傷害保険、搭乗者傷害保険、自損事故傷害保険から補償を受けられることが一般的です。
主な補償 | 補償の内容 |
---|---|
人身傷害 | 自動車事故でご自身や同乗者が死傷されたとき、 過失割合に関係なく治療費などを補償される保険 |
搭乗者傷害 | ご契約のお車に乗車中の方が死傷されたときに、 契約時に定めた保険金額を定額で補償する「定額払」の保険 |
自損事故傷害 | 相手方のいない自損事故などにより、 自賠責保険などの保険金が支払われない場合に、 保険金が支払われる保険 |
ご契約のお車の保有者・運転者または乗車中の方が死傷され、
イーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)は、自動付帯となる人身傷害に、搭乗者傷害の一部と自損事故傷害が一本化されています。そのため、補償の対象となる方が保険金のお支払い条件に該当する場合は、自損事故での補償を受けられます。
なお、入院時諸費用特約では自動車事故で3日以上の長期入院になった場合などにおいて、差額ベッド代や家族の宿泊費などを補償します。
自損事故(単独事故)での
モノに対する補償自損事故を起こすと、ご自身や同乗者にケガはなくても、乗っていた車や壊してしまったモノの修理費が必要です。自損事故のモノへの損害は、自動車保険の車両保険と対物賠償で補償されます。
主な補償 | 補償の内容 |
---|---|
車両保険 | ご契約のお車に損害が生じた場合に修理費などが補償される保険 |
対物賠償 | 自動車事故で相手方のお車や電柱などを壊した場合に修理費などが補償される保険 |
原則として物損事故となる自損事故では、どちらの補償も頼りになります。車両保険は任意で付帯する補償ですが、大切なお車を守るためにも加入がおすすめです。
ただし、車両保険には基本となる一般タイプの他、限定タイプやエコノミー型、車対車+Aなどと呼ばれる補償を限定したプランもあります。
&eでは、車両保険に一般タイプと限定タイプがあり、一般タイプでは自損事故も補償されますが、限定タイプでは自損事故は補償の対象外です。
&eの対物賠償(対物賠償保険)※では、電柱やガードレール、他人の家の塀などを壊してしまい、法律上の損害賠償責任を負った際に修理費などを補償します。
自宅の壁や駐車スペースなど被保険者やその家族のモノは補償から外れるため、ご注意ください。
一部の契約では付帯できない場合があります。
自損事故(単独事故)を起こしたときの対処法
自損事故を起こしてしまったら、相手方のいない事故であっても、事故直後の対応が大切です。ここでは、自損事故を起こしたあとに取るべき対処について順を追って紹介します。
手順①ケガ人を救護する
事故現場ではケガ人の救護が最優先です。ご自身や同乗者がケガを負っているなら、安全を確保したうえで、救急車を呼びます。出血があるならハンカチなどで止血する、軽いケガならご自身で病院に連れていくなど、臨機応変に対応します。
手順②車を安全な場所に移動させる
車をガードレールの外側や路肩などの安全な場所に移動させて、危険防止措置をとりましょう。
例えば、事故後は以下のような危険な状況となっていることがあります。
- 事故の衝撃で車体の一部や部品が破片となって周囲に飛び散っている
- 車の停止位置が後続車の通行を妨害する
こうした事故直後の状況を放置することは、二次被害を招く恐れがあり危険です。また、危険防止措置は道路交通法に定められている法律上の義務です。
周囲の状況をよく確認してから破片などの除去、発煙筒の発火、三角停止板の設置、後続車の誘導などの危険防止措置を行いましょう。
手順③警察へ届け出る
交通事故を起こした事実を警察に届け出ます(道路交通法第72条)。負傷者がいない場合や、物の損害が軽微な場合でも、警察に届け出ましょう。
警察へは、主に次のような内容を伝えます。
- 事故の場所や日時
- 損壊物の有無
- ケガ人がいればケガの程度
報告時に警察から何か指示があれば、指示に従って行動します。
警察へ届け出た際に交付される交通事故証明書は、事故発生の事実を証明するものなので、必ず届け出をしておきましょう。
手順④相手方の情報を確認する
ガードレールや電柱、お店の看板、他人の家の塀など、自損事故で他人のモノを壊してしまったら、所有者を確認のうえ、氏名・住所・連絡先などを聞いてメモなどで残しておきます。
停車中の車にぶつけてしまったときなど、他人の車に損害を与えた場合には、相手方の車の登録番号(車両ナンバー)も確認します。
当事者間で賠償に関する約束や念書の取り交わしはせず、保険会社の担当者へ相談するようにしましょう。
手順⑤事故の状況を記録する
保険会社に事実を正確に伝えられるように、事故の状況を記録しておくと便利です。スマートフォンで写真を撮り、事故の発生状況や被害状況、現場の見取り図などのメモを残しましょう。また、目撃者がいるときは、氏名や住所、連絡先を聞いておきます。
ドライブレコーダーの映像があれば、客観的に事故の状況を判断するのに役立つでしょう。
手順⑥自動車保険の契約先保険会社に
連絡する契約中の自動車保険の保険会社に事故を連絡します。&eの場合、自動車保険の事故受付は電話のみならずWebでも可能です。24時間365日対応なので、いつでも安心して連絡できます。
また、保険会社や商品により異なりますが、多くの自動車保険がロードサービスや代車の手配などのサービスを提供しているため、必要に応じて利用しましょう。
契約者からの連絡を受けて事故担当者が決まると、保険会社の事故対応が始まります。事故担当者が事故の状況確認や必要書類の準備をサポートするため、保険金請求の手続きに手間がかかることはありません。
なお、事故直後はケガをしている自覚症状がなくても、様子をみて必要に応じ病院に行き受診しましょう。
自損事故を起こした直後は体に異常がなくても、あとから痛みが出てきて治療が必要なケガをしているとわかることがあります。
自損事故(単独事故)で自動車保険を使うときの注意点
自損事故でも自動車保険の補償を受けられますが、保険を使うにあたっていくつか注意しておきたいことがあります。
車両保険や対物賠償、自損事故傷害は
3等級ダウンにつながる自損事故で自動車保険を使うと、3等級ダウンし保険料が上がる可能性があります。
自動車保険には契約ごとにノンフリート等級別料率制度が設定されていて、初めて自動車保険を契約する時点で6等級からスタートします。
なお、2台目のお車を購入したときやご家族がお車を購入したときなどで一定の条件を満たした場合には、セカンドカー割引が適用され、7等級からのスタートとなります。
等級は、保険料の割引率や割増率に影響し、等級が下がるほど保険料が割増となる仕組みです。1年間無事故なら翌年に1つ上がり、割引率が高くなります。
自損事故でモノへの損害を補償する車両保険や対物賠償を使うと3等級ダウンとなり、翌年の保険料が上がり、事故有係数適用期間も加算されます。
事故有係数適用期間とは、事故を起こし保険金を請求した場合に、無事故の方に比べて低い割引率(高い割増率)が適用される期間のことです。事故有係数適用期間が加算されたあとは、1年経過するごとに1年減り、0年となれば無事故の割増引率が適用されます。
事故有係数適用期間について詳しくはこちらでご確認ください。
事故有係数適用期間とは?一方、ご自身や同乗者のケガを補償する人身傷害や搭乗者傷害はノーカウント事故となり、事故はなかったものとされるため、保険金を受け取っても翌年の等級は1つアップします。
ただし、自損事故傷害は人身傷害と同じようなケガの補償でありながら、3等級ダウン事故に該当するため注意が必要です。
自損事故で保険を使う際は、受け取る保険金が翌年以降の保険料に見合う金額か、検討しましょう。
なお、&eでは人身傷害に自損事故傷害や搭乗者傷害の一部を統合しています。そのため、人身傷害のみの保険金請求であれば、ノーカウント事故となります。
自損事故傷害だけではケガへの補償が不十分な恐れもある
自損事故傷害は、相手方のいない自損事故で自賠責保険からの補償を受けられないとき、運転者(被保険者)や同乗者のケガを補償する保険です。
人身傷害を付帯しない場合に自動付帯される保険が多いですが、人身傷害に比べると保険金はそれほど高くなく、自動付帯のためご自身で保険金額も設定できません。ケガの程度にもよりますが、自損事故傷害では治療費として不十分になる恐れもあります。
&eは、対人賠償・対物賠償※・人身傷害が自動付帯される保険です。自損事故によるケガも人身傷害から保険金が支払われ、等級ダウンもない場合があります。
自損事故のときも安心できる補償をつけたいなら、補償内容をしっかり確認して自動車保険を選ぶことが大切です。
自損事故(単独事故)でも自動車保険の補償を受けられる!
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相手方のいない自損事故(単独事故)は、過失割合がご自身に100%あるため、同乗者がいないケースなどを除き、自賠責保険の対象外です。しかし、任意の自動車保険を使えば、人のケガやモノの損害への補償を受けられます。
ただし、車両保険の限定タイプだと自損事故は補償から外れるなど、個々の契約内容によって補償が変わります。自損事故のときどんな補償を受けられるのか、ご自身の契約を確認しておきましょう。
また、自損事故で対物賠償、車両保険を使うと翌年の等級が下がり、保険料が高くなる可能性があるので注意が必要です。
&eなら、対人賠償・対物賠償※・人身傷害が自動付帯されており、車両保険を任意で付帯できるので、自損事故もしっかりカバーできます。
監修:熊谷 正和
2005年7月に埼玉県川口市で開業後、ファイナンシャルプランニングを軸としたコンサルタントとして活動。開業当初から、個人のライフプランから法人向けのコンサルティングまで幅広く支援。得意分野は、住宅ローン・保険・資産運用などのライフプラン相談。毎年数百世帯、述べ2,000世帯を超えるライフプラン相談の実績を持つ。