旅行で他人の車を運転するときは自動車保険に入るべき?対象の保険や補償内容を解説

2024年3月8日(2024年10月25日更新)

旅行の移動手段として車を選ぶメリットは、時間や経路の制限がない点や多くの荷物を運べる点など多くあります。

旅行する際、友人の車やレンタカーなど、他人の車を運転する機会があるでしょう。しかし、慣れない観光地での運転は事故のリスクもあります。

本記事では、旅行先などで他人の車を運転する際に入っておくべき自動車保険や補償内容について解説します。

他人の車で事故を起こした場合に使える可能性がある保険は3つ

友人・知人の車を運転していて衝突事故を起こしたり、他人をケガさせたりした場合に、相手方へ賠償するために使える可能性がある保険は3つあります。

友人・知人の車の自賠責保険

自賠責保険(正式名称は自動車損害賠償責任保険)とは、自動車損害賠償保障法によって、すべての自動車および原動機付自転車に加入が義務付けられている保険です。自賠責保険は、交通事故による被害者救済を目的としているため、被害者のケガや死亡による損害のみ補償されます。したがって、相手方の物(自動車など)や、ご自身のケガや物(自動車など)の損害は補償されません。また、「最低限の補償」の確保を目的としているので、保険金の限度額(上限)が被害者1人につき死亡3,000万円まで、後遺障害4,000万円まで、傷害120万円までと、その補償額にも限度があります。

友人・知人が加入している自動車保険

友人・知人が加入している自動車保険に、対人賠償、対物賠償、人身傷害がついていれば、相手方のケガだけでなく、相手方の物(自動車など)や、ご自身のケガが補償されます。また、車両保険に加入していれば友人・知人の車の損害も補償されます。
ただし、気をつけなければいけないのは、その自動車保険の「補償される運転者の範囲」です。自動車保険は「運転者限定」や「運転者年齢条件」などを設定することで保険料が抑えられる一方、補償対象となる運転者や年齢の範囲が限定されます。運転者を家族・配偶者・本人などに限定している場合、友人・知人などの他人が起こした事故については補償の対象になりません。
友人・知人の車を運転するときには、「運転者限定特約」が「限定なし」になっているか、念のため確認しましょう。
ちなみに、よく間違えられるのが「運転者年齢条件」です。運転者年齢条件は友人・知人などには適用されないため、運転者年齢条件までご自身に合わせて変更してもらう必要はありません。

【運転者限定の区分と運転者年齢条件の適用範囲(イーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)の場合)】

友人・知人の自動車保険を使うと、多くの場合、翌年の等級が下がるため、友人・知人の自動車保険の保険料が上がってしまう点には注意が必要です。

ご自身が加入している自動車保険

ご自身が加入している自動車保険に「他車運転の補償に関する特約」(他車運転危険保険、他車運転危険補償特約、他車運転特約など、保険会社によって呼称が異なります)が付帯されていれば、友人・知人の車を運転していた場合の事故でも、ご自身の保険を使って補償することができます。

&eでは、すべての契約に「他車運転特約」がついています。&eの「他車運転特約」の主な補償内容や適用条件は以下の通りです。

他車運転特約の補償内容

「借りたお車」を運転中の事故により、補償の対象となる方が法律上の賠償責任を負う場合などに、ご自身の希望により「借りたお車」の保険に優先して契約者の保険から保険金が支払うことができます。支払われる主な保険金は以下の通りです。

  • 事故の相手方への補償

契約のお車の契約内容に応じて、対人賠償・対物賠償でお支払いの対象となる保険金が支払われます。

  • ご自身や同乗者のケガの補償

契約のお車の契約内容に応じて、人身傷害でお支払いの対象となる保険金が支払われます。

  • 「借りたお車」の車両の補償

契約のお車の契約内容に応じて、車両保険※3でお支払いの対象となる保険金が支払われます。※4

※3

新車買替特約、車内身の回り品特約、事故時レンタカー特約、事故時帰宅・宿泊特約を除きます。

※4

車両保険金のお支払い額は、「借りたお車」の時価額を限度とします。

適用条件

「借りたお車」の用途車種が以下のいずれかであること。

  • 自家用普通乗用車
  • 自家用小型乗用車
  • 自家用軽四輪乗用車
  • 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
  • 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
  • 自家用小型貨物車
  • 自家用軽四輪貨物車
  • 特種用途自動車(キャンピング車)

「借りたお車」には、主に運転される方、その配偶者、または主に運転される方もしくはその配偶者と同居している親族が所有または常時使用されているお車を含みません。また、「借りたお車」には、主に運転される方または配偶者と別居している未婚の子が、所有または常時使用するお車を自ら運転中の場合のそのお車を含みません。

旅行などで他人の車を運転する場合に、
自分の車を持っていなくても加入できる自動車保険

旅行やレジャー、帰省した際などに友人や家族の自動車を借りて運転する場合に、自分の車を持っていなくても加入できる自動車保険は以下の通りです。

  • ドライバー保険
  • 1日自動車保険

ご自身で加入している自動車保険がない場合は、事前にドライバー保険や1日自動車保険への加入を検討するとよいでしょう。

ドライバー保険

ドライバー保険は、運転免許証は持っているけれど、ご自身の車は所有していない方のための保険です。

各社補償内容は異なりますが、一般的な補償内容は以下の通りです。

  • 対人賠償
  • 対物賠償
  • 人身傷害保険
  • 搭乗者傷害保険

なお、ドライバー保険には、車両保険を付帯できないケースが多いので注意しましょう。

また、ドライバー保険の対象となる車種は一般的には次の通りです。

  • 自家用乗用車(普通・小型・軽四輪)
  • 自家用貨物車(小型・軽四輪)
  • 自家用普通貨物車(最大積載量による制限あり)
  • 特種用途自動車(キャンピング車)
  • 二輪自動車
  • 原動機付自動車

上記の車種であれば、レンタカーも対象となります。

なお、一般的に保険期間は1年間ですが、1年未満(1ヶ月など)や1年以上の契約が可能な場合もあります。

1日自動車保険

ドライバー保険と同様に、「車を所有していないが運転免許証は持っている」場合や「旅行やレジャーで友人の車を運転する機会が多い」という方に向けた保険として、「1日自動車保険」があります。

各社補償内容は異なりますが、一般的に共通している補償内容は以下の通りです。

  • 対人賠償
  • 対物賠償
  • 搭乗者傷害保険

契約プランによっては、車の復旧費用補償(車両補償)を付帯できます。

また、一般的に1日自動車保険で対象となるのは、以下の「自家用乗用車」に限定されています。

  • 自家用普通乗用車
  • 自家用小型乗用車
  • 自家用軽四輪乗用車

原則、記名被保険者(運転者ご本人)、記名被保険者(運転者ご本人)の配偶者が所有している自動車、レンタカーなどは対象外です。

近年は車の利用形態が多様化しているため、利用者が増えています。
1日自動車保険の特長として、保険期間が24時間であることや、スマートフォンでのお申し込みが可能な点が挙げられます。いつでも気軽に加入できる点がメリットです。

レンタカーを利用する場合の自動車保険

レンタカーについては、レンタカー会社があらかじめ基本的な補償を受けるための自動車保険をつけて、その保険料をレンタカー利用料金に含めていることが一般的です。そのため、レンタカーを借りるにあたり、事前に自動車保険に加入する必要はありません。

しかしながら、レンタカー会社がつけている自動車保険は、補償の対象となる運転者が限定されていたり、補償が一般的な任意の自動車保険よりも限定的であったり、対物賠償・車両保険については免責金額(一般的に5万円程度)が設定されているなど、補償内容が不十分なケースがあります。免責金額については追加料金が必要なオプション補償(免責補償制度)を利用することで0円にすることもできるので、レンタカーを利用する場合は、自動車保険の補償内容やオプション補償などをレンタカー会社に確認することが大切です。

なお、レンタカー利用時に事故を起こした場合、レンタカーの保険を利用せず、ご自身の自動車保険を優先的に利用することもできます。ご自身が加入している自動車保険に他車運転特約が付帯されている場合には、ご自身の希望によりレンタカーの自動車保険に優先してご自身の自動車保険から保険金の支払いを受けることができます。

また、ドライバー保険に加入している場合も、レンタカーの自動車保険に優先してご自身のドライバー保険から保険金の支払いを受けることができます。
ただし、レンタカーの自動車保険はレンタカー会社が加入している保険なので保険金の支払いを受けた場合でもご自身の保険の等級に影響はありませんが、ご自身の自動車保険やドライバー保険で保険金の支払いを受けたときは、保険金の種類によって等級が下がることがありますのでご注意ください。

車を貸す場合の自動車保険の留意点

ご自身の車を他人に貸す場合も、事前に「補償される運転者の範囲」など自動車保険の内容をよく確認することが大切です。
万一、友人が運転して重大な事故を起こしてしまった場合、自動車保険の補償を受けられないと経済的な負担が大きいでしょう。

運転する友人にも、ご自身で加入している自動車保険に他車運転特約がついているか、ドライバー保険や1日自動車保険に加入しているかどうかを確認することがおすすめです。貸す側にとっても借りる側にとっても、お互いに安心して貸し借りできるように自動車保険の備えは欠かせません。

まとめ
〜旅行で友人の車を運転するなら自身の保険の加入状況を確認しよう〜

旅行先などで他人の車を運転する機会があるなら、自動車保険の加入の有無を確認する必要があります。

自動車保険&eなら、すべての契約に「他車運転特約」が付帯されています。旅行やレジャーを楽しく安全に過ごすなら、自動車保険でしっかり備えましょう。

監修:新井 智美

コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。

資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員