新車を買ったら自動車保険に「車両保険」をつける?補償内容やメリット、必要性を解説
2024年10月25日
万一、お車で事故を起こしてしまった場合に備えて、多くの方が自動車保険に加入しています。自動車保険には、相手方のケガやお車などの損害だけでなく、ご自身のケガやお車に対する補償もあります。
新車を買う場合、「購入してすぐに事故にあう」リスクを心配する方もいるでしょう。車両保険をつけると補償は手厚くなりますが、保険料への影響が大きいため「車両保険をつけるべきか」悩む方は少なくありません。
本記事では、新車を購入するときに車両保険をつけるメリットや必要性、保険料を抑える方法などを説明します。新車の購入や自動車保険の見直しを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
新車を購入する際、自動車保険に
「車両保険」をつけたほうがよいケースイーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)の2023年度契約データによると、自動車保険に加入している契約者のうち、70%以上が車両保険に加入しています。
今回は新車を購入する際、特に車両保険をつけたほうがよいと考えられる4つのケースを紹介します。
車両保険は、一部の契約について付帯できない場合があります。
ローンを組んで新車を購入する場合
ローンを組んで購入した新車が事故で全損となった場合、ローンの返済だけが残る可能性があります。修理が可能な場合も、ローンの返済額と修理費を同時に負担しなければなりません。
また、お車の購入方法の一つに、「残価設定型クレジット」があります。残価設定型クレジットとは、あらかじめ車両価格から「残価」を差し引いた金額をローンでお支払いする方式です。
残価設定型クレジットで購入した新車が事故で全損となった場合、残りのローン返済額と残価分の一括返済を求められるケースがあります。
新車は時価(市場販売価格相当額)が高い分、車両保険金額も高く設定でき、お車の修理費が高額になった際に車両保険だけでカバーできる可能性が高くなります。
残価設定型クレジットで購入する場合、月々のローン返済額を抑えられる一方、お車に損害が生じた場合の負担額が大きくなります。
ローンを組んで新車を購入する場合には、万一に備えて車両保険への加入がおすすめです。
新車が高級車や外国車の場合
高級車や外国車などは、国産車に比べて修理費が高額になる傾向があります。そのため車両保険の必要性が高いといえます。
現金などの備えが十分でない方は、車両保険に加入しておくと急な出費にも対応できます。
自然災害や盗難などのリスクが高い場合
交通事故だけでなく、台風や洪水など自然災害によってお車に損害が生じる可能性もあります。新車の場合には特にお車を大事にしたい気持ちが強いと思いますので、車両保険に加入しておくと安心です。
近年では、集中豪雨などでお車が水没して損害が生じるケースは少なくありません。洪水が起こりやすい山間部や河川の近くに住んでいる場合だけでなく、局所的な降雨によって下水道管から水が溢れる「内水氾濫」は都市部でも発生するリスクがあります。
また、大規模な台風などによって、物が飛来してお車に損害が生じるケースがあります。お車を屋根や壁がない屋外の駐車場で保管する場合も、災害リスクに備えましょう。
自然災害による損害以外に、盗難による被害も増加しています。特に、盗難されやすい人気の車種を購入した場合などは、車両保険への加入を検討したほうがよいでしょう。
運転に慣れておらず自損事故(単独事故)のリスクが高い場合
初心者やペーパードライバーで運転に慣れていない場合、バック駐車で壁にぶつかったり細い道でガードレールに接触したりする単独事故のリスクが高くなります。
基本的に、単独事故は運転者本人に100%の過失があるため、ご自身のお車の損害は自己負担しなければなりません。しかし、単独事故を対象とする車両保険に加入していれば、単独事故を起こしてお車に損害が生じた場合でも補償されます。
ご自身の運転歴や運転する頻度・状況などを考慮し、リスクに応じて車両保険への加入を検討しましょう。
新車におすすめの特約
新車の場合におすすめの特約として、新車特約があります。特約の内容について説明します。
新車特約
一般的に「新車特約」とは、契約した車が事故で全損など修理が難しいレベルの損害を受けた時、新車保険金額を限度に保険金を受け取れる特約です。&eでは新車買替特約といいます。&eの新車買替特約を例に、その必要性を確認してみましょう。
(例)衝突事故でお車が大破した場合
(購入価格200万円、修理費100万円、車両保険金額180万円、新車保険金額200万円、免責金額0万円)
新車買替特約がついていない車両保険(免責金額0万円)であれば、修理費の100万円が支払われます。その際、修理せずに同等のお車を再購入する場合、残りの100万円はご自身で負担しなければなりません。
一方、新車買替特約がついている車両保険(免責金額0万円)であれば、新たにお車を購入する費用として200万円が補償されます。
車両保険では修理費から免責金額を差し引いた額をお支払いします。
「せっかく新車を購入したんだから、もしものことがあっても次も新車に乗りたい」「これからも長く乗ろうと思っているので、大破したものを修理して乗るのには抵抗がある」と考えるならば、お車の再購入費用が補償される新車特約の付帯がおすすめです。
ただし、新車特約は条件を満たさなければ付帯できません。
&eの「新車買替特約」の場合、以下の条件を満たすと付帯できます。
- 車両保険を付帯している
- 保険開始日の属する月が、ご契約のお車の初度登録年月の翌月から起算して49ヶ月以内である
- ご契約のお車がリースカーに該当しない
各保険会社によって付帯するための条件は異なるので、よく確認しましょう。
車両保険の保険料を抑える方法
ここまで、新車を購入する際、自動車保険に「車両保険」をつけたほうがよいケースを紹介してきましたが、一般的に、車両保険を付帯すると保険料が上がります。車両保険の保険料を抑える方法を説明します。
免責金額を高く設定する
「免責金額」とは、自己負担する金額のことです。免責金額を高く設定すると、事故時の自己負担額は高くなりますが保険料は安くなります。
&eの車両保険は、「1回目の事故の免責金額」と「2回目以降の事故の免責金額」を組み合わせた5つのパターンから免責金額を選ぶことが可能です。最も保険料を抑えるなら、1回目および2回目以降の事故の免責金額を「10万円」で設定します。
免責金額を高く設定すれば保険料は安く抑えられますが、事故時の自己負担額は高くなるので注意が必要です。
「いざというときの自己負担をどこまで許容できるか」をお考えのうえ、免責金額をご設定ください。
補償の範囲を限定する
一般的に、車両保険には「一般」と「限定(エコノミー)」の2種類があります(保険会社によって、名称が異なる場合があります)。
主な違いは、「限定(エコノミー)」は保険料が安い代わりに補償範囲が限定され、単独事故などの一部事故が補償対象とならないことです。
&eの車両保険の場合、一般タイプと限定タイプの補償内容は以下の通りです。
&eの場合、限定タイプでは「電柱やガードレールなどへの衝突」や「転覆・墜落」は補償の対象外です。
ご自身の運転リスクを考慮のうえ、車両保険のタイプを選びましょう。
なお、補償の範囲や条件は保険会社によって異なるので、加入する際はよく確認しましょう。
まとめ
新車を購入する際、ローンを組んで新車を購入する場合や、新車が高級車や外国車の場合は、車両保険で備えるのがおすすめです。
一定の条件を満たす場合は、新車特約をつけることもできますのであわせてご検討ください。
車両保険の保険料を抑えるには、免責金額を設定したり補償範囲を限定したりする方法があります。万一、事故によってお車に損害が生じた際の自己負担額の許容度を考慮しながら、適した契約プランを選びましょう。
監修:新井 智美
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。
資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員