車の修理における自動車保険の賢い使い方は?補償範囲と保険を使う際の注意点を徹底解説

2024年12月16日

事故によってご契約のお車に損害が生じた場合の修理費は、車両保険で補償されます。
ただし、一般的に車両保険には2つの種類があり、補償される範囲が異なります。選んだ車両保険のタイプによっては補償が受けられない可能性もあります。

また、車両保険を使うと翌年以降の等級が下がって保険料が高くなる可能性があるため、総合的な支払い額を考慮すると保険を使わない方がよい場合もあります。

本記事では車両保険の補償範囲や保険を使う際の注意点を解説し、自動車保険の賢い使い方を紹介します。

自動車保険の車両保険の補償範囲

一般的に車両保険には、補償範囲が広い「一般」と、補償範囲を限定する代わりに保険料を抑えられる「限定(エコノミー)」の2タイプがあります(保険会社によって、名称が異なる場合があります)。

イーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)の車両保険のそれぞれのタイプの補償範囲は、以下の通りです。

例えば、「お車との衝突」はどちらのタイプでも補償されますが、電柱との衝突など「単独事故」は限定タイプでは補償されません。

また、「台風・洪水・高潮」などの災害の場合はどちらのタイプでも補償されますが、「地震・噴火・これらによる津波」などの災害の場合はどちらのタイプでも補償されません。
ただし、保険会社によっては、万一の地震や噴火などの災害に起因する車両損害をカバーする特約を付帯できる場合があります。

自動車保険の車両保険を使うときの注意点

車両保険の対象となる事故にあい、車両保険を使う(保険金を請求する)際は、翌年以降の保険料に影響が出る可能性がある点を理解しておくことが大切です。

一般的な自動車保険には等級制度(ノンフリート等級別料率制度)が導入されており、事故にあって保険金を請求した場合の事故の内容や回数に応じて等級(1等級~20等級)と割増引率が決まり、翌年以降の契約の保険料が割引・割増されます。なお、請求した保険金の金額の大きさは保険料には影響しません。
また、同じ等級でも「無事故」と「事故有」の割増引率があり、7等級以上の場合、「事故有」のほうが「無事故」に比べて保険料が高くなります。この「事故有」の割増引率が適用される期間を「事故有係数適用期間」といいます。

事故はその内容によって「1等級ダウン事故」、「3等級ダウン事故」、「ノーカウント事故」の3つに分類されます。&eでの事故の分類と翌年の等級、事故有係数適用期間は以下の通りです。

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事故の種類 事故例 翌年の等級
(事故1件につき)
翌年の事故有係数適用期間
(事故1件につき)
3等級ダウン事故
  • 他の車に衝突して、
    車両保険を請求した
  • 電柱に衝突して、
    対物賠償を請求した
3等級下がる 3年加算される
1等級ダウン事故
  • 飛び石でフロントガラスが割れ、
    車両保険を請求した
  • 台風により横転し、
    車両保険を請求した
1等級下がる 1年加算される
ノーカウント事故
  • 乗車中の事故でケガをし、
    人身傷害を請求した
  • もらい事故にあい、
    弁護士特約を請求した
影響しない
(ノーカウント事故
のみなら翌年は1等級上がる)
加算されない

保険期間中に無事故の場合や事故にあったが保険金請求を行わなかった場合、また、事故にあって保険金は請求したがその事故が「ノーカウント事故」だった場合は、自動車保険の翌年の等級が1つ上がります(ただし、20等級が上限です)。
反対に、「ノーカウント事故」を除き、事故にあって保険金を請求した場合、翌年の等級が下がります。例えば、現在の等級が10等級・事故有係数適用期間が0年で3等級ダウン事故が1件あった場合、保険金を請求すると翌年の等級は7等級に下がります。また、翌年の事故有係数適用期間は3年となり、「事故有」の割増引率が適用されます。

基本的には20等級が最も保険料が安くなり、等級が下がるほど保険料が割増となります。
そのため、自動車保険の車両保険を使うと翌年以降の保険料が高くなる可能性がある点を理解しておきましょう。

自動車保険の車両保険の
賢い使い方

前述の通り、事故によってご契約のお車に損害が生じて車両保険を使うと、翌年の等級が下がって保険料が高くなります。
そのため、車両保険を使うかどうかは、車両保険を使ってまかなえる修理費と、車両保険を使った場合の翌年以降の保険料の増額分を比較して判断することをおすすめします。

前述の、現在の等級が10等級・事故有係数適用期間が0年の状態で、お車同士の衝突事故によりご自身のお車に20万円の修理費が発生するケースを想定してみましょう。(相手側の過失はない例とします。また免責金額は0円とします。)

お車同士の衝突事故は3等級ダウン事故に該当するため、車両保険を使った場合、翌年の等級は7等級に下がり、事故有係数適用期間は3年となり、3年間は「事故有」の割増引率が適用されます。
この場合、修理費20万円と翌年以降の3年間の保険料の増額分の差額を比べて、車両保険を使うか使わないかを判断します。

なお、翌年以降の概算の保険料の見積もりは、保険会社や代理店に依頼して出してもらうとよいでしょう。
&eでも、実際に事故にあった場合には、事故担当者が翌年以降の概算の保険料を試算してご案内します。事故連絡をした後でも、そのまま車両保険を使うか、取り下げて車両保険を使わず自己負担するか選択できます。

事故発生から保険金支払いまでの一連の流れ

自動車保険の賢い使い方を知ったうえで、実際に自動車事故が発生してから車両保険を使うまでの流れについて確認しておきましょう。

一連の流れは、以下の通りです。

  1. ケガ人を救護する
  2. 車を安全な場所へ移動させる
  3. 警察へ届け出る
  4. 相手方の情報を確認する
  5. 事故の状況を記録する
  6. 自動車保険の契約先保険会社に連絡する
  7. 修理工場にご契約のお車を出して見積もりをもらう
  8. 必要書類一式を保険会社へ提出する
  9. 調査後、保険金が支払われる

事故の当事者となった場合、道路交通法に定められた義務を果たす必要があります。ケガ人の救護や危険防止のための措置を講じましょう。

その後、警察(110番)へ報告します。警察への報告は、人身事故だけでなく物損事故や自損事故でも必要な点に注意してください。

警察に報告した後に、契約中の自動車保険の保険会社に事故連絡をします。&eの場合、自動車保険の事故受付は電話のみならずWebでも可能です。24時間365日対応なので、いつでも安心して連絡できます。
また、保険会社や商品により異なりますが、多くの自動車保険がロードサービスや代車の手配などのサービスを提供しているため、必要に応じて利用しましょう。

その後は修理工場にご契約のお車を出して見積もりをもらい、必要書類一式を揃えて保険会社まで提出し、保険会社での調査後に保険金が支払われます。

まとめ

事故によってご契約のお車に損害が生じた場合の修理費は、車両保険で補償されます。
万一、自動車事故が発生した際は、支払われる保険金と車両保険を使った場合の翌年以降の保険料の増額分を比較し、場合によってはあえて車両保険を使わないことで費用を抑えられる可能性があります。

事故時も冷静に判断して、賢く車両保険を利用しましょう。

監修:新井 智美

コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。

資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員