東京に雹(ひょう)が降った!その損害は保険で補償される?他の自然災害は?
2024年3月8日
東京の一部の地域に大粒の雹(ひょう)が降り、ケガをした、物が壊れた、といったニュースを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このような自然災害で車が傷ついたり壊れたりしたら、自動車保険で補償されるのでしょうか。今回は自然災害による損害で支払われる保険についてご紹介します。
雹で自動車に傷がついたら…補償の決め手は「車両保険」
雹のような落下中の物との衝突が原因で車が損害を受けた場合、加入している自動車保険に「車両保険」をつけていれば、補償を受けられます。イーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)の場合、補償の範囲を限定しない一般タイプと補償の範囲が限定され保険料が安くなる限定タイプの2タイプがありますが、雹による車の損害はいずれのタイプでも補償されます。
支払われる保険金は、車両保険の保険金額を上限に、車の修理費から免責金額を差し引いた金額です。例えば、車両保険の保険金額が100万円、免責金額が5万円の契約で、修理費が50万円かかったとしたら、50万円から免責金額を差し引いた45万円を保険金として受け取れます。ただし、修理費が保険金額の100万円以上の場合には全損となり、免責金額を差し引かず、100万円を保険金として受け取れます。
車両保険を使うと
等級はどうなる?雹による被害で車両保険を使うと、翌年の等級は1等級ダウンします。さらに、翌年の契約の「事故有係数適用期間」が1年加算されます。したがって、一般的に翌年の保険料は高くなります。
【1等級ダウン事故の等級進行の例】
そのため、車の修理費がそれほど高額でなければ、車両保険を使わずに全額自己負担で修理をしたほうがよい場合もあります。仮に修理費が8万円で免責金額が5万円なら、差額の3万円が車両保険から支払われますが、保険を使うことで翌年の保険料が3万円以上高くなれば結果的にマイナスです。状況に応じて、車両保険を使うか全額自己負担で修理するか、保険会社と相談するなどして決めたほうがよいでしょう。&eでは、実際に事故や被害にあった場合には、事故担当者が翌年以降の保険料を試算しご案内しています。
台風・ゲリラ豪雨などによる車の損害も車両保険で補償される
自然災害には、雹以外にもさまざまなものがあります。台風・ゲリラ豪雨などが原因で車が損害を受けた場合、補償されるのでしょうか。
具体的な例をあげてみましょう。
- 台風による大雨で車が浸水し壊れた
- 台風による暴風で看板が飛んできて車に傷がついた
- 台風による高潮が発生し、車が流された
- 豪雨による土砂崩れに巻き込まれて車が押し潰された
- 豪雨による洪水が発生し、車が流された
台風・ゲリラ豪雨などが原因で発生した、これらの車の損害は、雹による被害と同様、「車両保険」をつけていれば、「一般タイプ」「限定タイプ」のいずれのタイプでも補償されます。
車内の人や物の補償はどうなる?
雹や台風・ゲリラ豪雨の場合、車に乗っている人のケガに対する補償はあるのでしょうか。例えば降ってきた雹でフロントガラスが割れ、運転者が破片でケガをした場合などです。
この場合、「人身傷害」をつけていれば補償されます。
「人身傷害」は補償の対象となる人が死傷した場合に、過失の有無とは関係なく、治療費や休業損害など実際の損害額を受け取れる補償です。
また、雹や台風・ゲリラ豪雨によって車に積んでいた物が損害を受けた場合、「車に積んでいる身の回り品などを補償する特約」をつけていれば補償されます。&eでは、「車内身の回り品特約」をつけていれば、雹や台風・ゲリラ豪雨の場合以外でも、車内やトランクに積んでいた物や、キャリアに固定していた物が事故によって破損してしまった場合に補償されます。補償される金額は1事故につき30万円限度です。カメラ、ゴルフクラブセットなど高額な物を自動車に積む機会が多い方は、つけておくと安心です。ただし、通貨、有価証券、貴金属、宝石など、補償の対象外となる物もあります。
地震・噴火・これらによる津波による損害は補償されない
一方、地震・噴火・これらによる津波を原因とする損害は補償されません。これらは台風・ゲリラ豪雨などと比較すると、一度に甚大な損害を発生させる可能性があり、発生頻度や損害規模の予測が困難なため、一般的な自動車保険では補償されません。なお、これらの損害を補償する特約を用意している保険会社もあります。
ちなみに、津波と同じく海面が盛り上がり陸に押し寄せる現象で高潮がありますが、補償されるか否かは原因によって異なります。高潮は台風や低気圧によって起きるため、車両保険で補償されますが、津波は地震によって起きるため、一般的な車両保険では補償されません。
災害時は自動車より命を最優先に
災害時に最も大切なのは人命です。車は保険で修理することもできますが、人命に万一のことがあったら取り返しがつきません。
気象情報に注意をして、災害が予想されるときには早めに車を安全な場所に移動し、運転は控えましょう。身の危険を感じたら、無理をせず車を置いてでもまずは逃げて、命を最優先にしてください。
監修:新井 智美
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。
資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員