車両火災は自動車保険で補償される?火災事故の要因から見る自動車保険の必要性を解説

2024年10月25日

自動車保険では、車両保険をつけていれば車が火災にあった場合(車両火災)に受けた損害も補償対象に含まれます。ただし、車両火災が補償対象外となるケースもあります。

本記事では、車両火災で保険を使った場合の保険料への影響や、総務省消防庁の統計データから自動車保険の必要性について解説します。

車両火災は自動車保険の補償対象

一般的に、車両保険には「一般」と「限定(エコノミー)」の2種類があります(保険会社によって、名称が異なる場合があります)。
主な違いは、「限定(エコノミー)」は保険料が安い代わりに補償範囲が限定され、自損事故などの一部事故が補償対象とならないことです。

イーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)では、一般タイプの車両保険と限定タイプの車両保険は、以下の表のように補償される範囲が異なります。

&eでは、もらい火や電気配線からの発火、放火などの偶発的な火災で車両に損害が発生した場合は、一般タイプでも限定タイプでも補償されます。どちらのタイプでも補償されるのが一般的ですが、詳しい補償内容は、加入している保険会社に確認しましょう。

車両火災で車両保険を使うと翌年の保険料に影響する

一般的に、車両保険を使うと翌年度の等級がダウンし、保険料が高くなります。

同じ等級でも「無事故」と「事故有」の割増引率があり、「事故有」のほうが「無事故」に比べて保険料が高くなります。この「事故有」の割増引率が適用される期間を「事故有係数適用期間」といいます。

例えば、もらい火などのご自身に非がない事故の場合は1等級ダウンし、事故有係数適用期間が1年加算されます。ただし、他車との衝突や電柱への衝突、転覆、墜落などが理由による火災の場合は3等級ダウンし、翌年の事故有係数適用期間は3年加算されます。結果として「事故有」の割増引率が適用され、翌年以降の保険料負担が大きくなります。

車両火災で車両保険を使った場合、基本的には翌年以降の保険料に大きな影響が出る可能性が高いと覚えておきましょう。

車両保険の補償対象外となる車両火災

車両火災にあっても、車両保険をつけていれば、基本的には補償を受けられますが、車両保険の補償対象外となるケースもあります。

【車両保険の補償対象外となる車両火災の一例】

  • 故意または重大な過失の場合
    一般的に、契約者や被保険者(ご契約のお車の所有者)、保険金の受取人などによる故意または重大な過失によって車両火災となった場合には、保険金は支払われません。
  • 地震や噴火またはこれらによる津波の場合
    地震・噴火またはこれらによる津波によって発生した車両火災は車両保険の補償対象外となるのが一般的です。地震や噴火などによる損害は被害規模が大きく適切な保険料設定が難しいため、多くの保険会社が補償の対象外としています。

車両火災に備えるために自動車保険は必要?

総務省消防庁の統計データ「令和5年(1~12月)における火災の概要(概数)」によると、2023年1月〜12月にかけての車両火災は全部で3,523件発生しています。

車両火災の出火原因は、「排気管(18.3%)」、「電気機器(9.4%)」、「交通機関内配線(8.4%)」、「たばこ(4.3%)」、「放火(3.9%)」などが上位を占めています。

普段から注意して自動車を運転している方でも思わぬ事故や突発的な故障などが原因で、車両火災の被害に遭遇する可能性はゼロとは言い切れません。

万一の車両火災に備えるためにも、自動車保険に加入し車両保険をつけておく必要性は高いと考えられるでしょう。

まとめ

自動車保険に加入し車両保険をつけることで車両火災に備えることができます。
ただし、車両保険を使うと翌年度の等級がダウンし、保険料に大きな影響が出てしまう点には注意が必要です。

また、契約者や被保険者(ご契約のお車の所有者)、保険金の受取人などの故意または重大な過失、地震や噴火またはこれらによる津波の場合など、車両火災が発生しても自動車保険の補償対象外となるケースもあります。

保険会社によって補償範囲が異なるため、万一の事態に備えて、事前にWebサイトや約款などをよく確認しておきましょう。

監修:新井 智美

コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。

資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員