普通自動車免許とは。運転免許の区分と種類について
2024年1月17日
普通乗用車を運転できる普通免許が取りたい、すでに普通免許は持っているけれど、大型トラックが運転できる免許を取りたい。そんなとき、気になるのが運転免許の種類です。
運転免許の種類は、2017年の免許制度改正によって新たに作られたものを含め、現在9種類あります。ご自身の運転免許証ではどのような車が運転できるのか、どの免許を取得すれば目的の車が運転できるのか気になっている方は、本記事で運転免許の種類について詳しく解説していますので、確認してみてください。
運転免許の区分と種類
はじめに、運転免許の区分と種類についてみていきましょう。
運転免許の区分
運転免許は、自動車や二輪自動車を運転するための免許である第一種運転免許、バスやタクシーなど、旅客自動車を旅客運送のために運転する第二種運転免許、第一種運転免許を受ける方が、練習のために公道を走る際に必要となる仮運転免許の3つの区分に分かれています。
車を運転するために誰しも必要となる免許が、仮運転免許と第一種運転免許です。第二種運転免許は、タクシーの運転手やバスの運転手など、主に職業として運転が必要になる方が取得します。
第一種運転免許の種類
次に、第一種運転免許の種類について見ていきましょう。
表の縦軸が運転免許の種類、横軸がその運転免許によって運転できる自動車・原動機付自転車の種類となっています。この表から、免許の種類は10種類あり、それぞれ運転できる車の種類が異なることがわかります。
例えば、普通免許では普通自動車と小型特殊自動車、原動機付自転車が運転できます。大型免許を取得すると、大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車が運転できるようになります。
また、運転免許は履歴書に記載できる免許・資格です。第一種運転免許を履歴書に記載するときは、正式名称である「普通自動車第一種免許」AT車のみを運転できるAT限定免許の場合は「普通自動車第一種免許(AT限定)」と記載しましょう。
なお、第二種運転免許を取得している場合は、第一種運転免許に加えて記載するとよいです。第二種運転免許の正式名称は、「普通自動車第二種免許」AT車のみを運転できるAT限定免許の場合は「普通自動車第二種免許(AT限定)」となるので、覚えておきましょう。
第二種運転免許の種類
第二種運転免許は、バスやタクシーなど旅客自動車を営利目的で旅客運送するために運転する場合に必要な免許です。そのため、バスの運転手やタクシードライバーとして働くためには、第二種運転免許を取得しなければいけません。
第二種運転免許は以下の5つに分類されます。
- 普通第二種免許(普通自動車第二種免許)
- 大型第二種免許(大型自動車第二種免許)
- 中型第二種免許(中型自動車第二種免許)
- 大型特殊第二種免許(大型特殊自動車第二種免許)
- 牽引第二種免許
第二種運転免許に関しても、第一種運転免許と同様に運転する自動車によって必要な免許が異なります。例えば、タクシードライバーの場合は普通第二種免許、路線バスなどバス会社で働く場合は大型第二種免許が必要です。
二種運転免許の受験資格には、原則として、21歳以上であることや、一種運転免許を取得後、通算して3年以上(免停期間を除く)など条件があるので、注意しましょう。
なお、2022年5月13日より、19歳以上かつ、大型免許や普通免許など該当の運転免許を受けていた期間が通算1年以上(免停期間を除く)あれば、一定の教習を修了することによって普通第二種免許、大型第二種運転免許、中型第二種運転免許の試験を受けることができるようになっています。
免許の種類によって
運転できる車の大きさも異なる運転できる車の種類だけでなく、大きさも免許の種類によって左右されます。まとめたのが以下の一覧表です。
2017年3月12日以降に免許を取得している・免許を取得する場合
免許の種類 | 車両 | 総重量最大 | 積載量乗車 | 定員受験 | 資格
---|---|---|---|---|
普通 | 免許3.5トン未満 | 2.0トン未満 | 10人 | 以下18歳 | 以上
準中型 | 免許7.5トン未満 | 4.5トン未満 | 10人 | 以下18歳 | 以上
中型 | 免許11.0トン未満 | 6.5トン未満 | 29人 | 以下特別な教習※を修了した者 19歳以上かつ普通免許等保有1年以上 |
大型 | 免許11.0トン以上 | 6.5トン未満 | 30人 | 以上特別な教習※を修了した者 19歳以上かつ普通免許等保有1年以上 |
普通免許では、車両の総重量が3.5トン未満、最大積載量は2.0トン未満、乗車定員10人以下の車しか運転できません。大型免許を取得すると、車両総重量が11トン以上、最大積載量が6.5トン以上、乗車定員が30人以上の車でも運転できます。
しかし、普通免許と大型免許では、受験資格が異なります。普通免許と準中型免許は18歳以上なら誰でも免許を取得できますが、大型免許と中型免許では特別な教習※を修了し、19歳以上かつ普通免許等を1年以上保有していなければなりません。
大型・中型免許の受験資格で担保している資質を特別な教習により年齢要件が担保する「自己制御能力」及び経験年数要件が担保する「危険予測・回避能力」を養成
大型免許、中型免許については以下のコラムで詳しく解説しています。
大型免許とは。取得条件や運転可能な自動車範囲、免許の取得で利用できる補助金・助成金についても解説します 中型免許とは。取得条件や運転可能な自動車範囲、限定解除方法についても解説します免許制度改正前に免許を取得している場合
上記で示した受験資格や運転免許の種類は、2017年3月12日以降に運転免許を取得した方に適用されるものです。それ以前に運転免許を取得している方の免許の種類と、運転できる車の大きさは以下のとおりです。
免許制度改正前(2017年3月11日以前)に免許を取得している場合
免許の種類 | 車両 | 総重量最大 | 積載量乗車 | 定員受験 | 資格
---|---|---|---|---|
普通 | 免許5.0トン未満 | 3.0トン未満 | 10人 | 以下18歳 | 以上
中型 | 免許11.0トン未満 | 6.5トン未満 | 29人 | 以下20歳以上 | 免許期間2年以上
大型 | 免許11.0トン以上 | 6.5トン以上 | 30人 | 以上21歳以上 | 免許期間3年以上
免許制度の改正前に免許を取得している方は、改正後の普通免許よりも運転できる車の幅が広い状態になっています。これは、普通免許と中型免許の中間にあたる、準中型免許が新設されたためです。2017年3月12日以降に普通免許を取得した方は、準中型免許を取得しなければ、積載量2.0トン以上の車を運転することはできません。
現在、仕事で準中型にあたる車を運転しなければならない場合には、普通免許と併せて準中型免許も取得する必要があります。
免許制度の変更で追加された
「準中型免許」とは?上記のとおり、道路交通法改正によって、2017年3月12日から普通免許で運転できる車種の幅が狭まりました。改正前であれば、普通免許でも2トントラックを運転することができましたが、今後免許を取得する方は、普通免許と準中型免許を取得しなければ、2トントラックを運転することはできません。一方で、2トントラックを運転するために必要な準中型免許の受験資格は、18歳以上の方となっています。つまり、初めて免許を取得する方でもすぐに取得することができます。ではなぜわざわざ免許の種類を分けたのかと思われる方もいるでしょう。
実は準中型免許新設の背景には、運送業の深刻なドライバー不足が関係しています。これまで、中型免許は20歳以上かつ初めての免許取得から2年以上経過していなければ取得できませんでした。この空白の期間があることで、トラックの運転を仕事とする運送業のドライバー不足の解消が難しい状況でした。
そこで新設されたのが準中型免許です。18歳になった時点ですぐに積載量2トン以上の中型トラックを運転できるようになりました。これにより、運送業のドライバー不足が解消されるのではと期待されています。
運転免許証の色の種類について
運転免許証の色による違いもあるので、覚えておきましょう。免許取得から3年未満はグリーン、3年以上でブルー、5年間無事故無違反の場合はゴールドと色が変わります。
運転免許証の色によって、保険料が変わる場合があります。イーデザイン損保では、グリーンよりもブルー、ブルーよりもゴールドの方が保険料は安くなります。運転免許証の色が変わった方は、契約の継続時に新しい色を申告しましょう。
&eの保険料の決まり方についてはこちらのページをご覧ください。
保険料の決まり方免許はどうやって取得すればいい?
これまでに解説したとおり、運転免許には受験資格があります。取りたい免許があっても、年齢や免許期間といった受験資格を満たしていない場合には免許を取得することはできません。受験資格を満たしている場合には、次の2つの方法で免許を取得することができます。
ごく一般的なのが、自動車教習所や自動車学校に入校し、指導員から運転の方法や交通ルールを学び免許を取得する方法です。自動車教習所や自動車学校の卒業試験に合格したあと、運転免許センターにて学科試験と適性試験を受け、合格すると運転免許証が交付されます。費用と時間はかかりますが、正しい運転技術をしっかりと学ぶことができます。指定自動車教習所は公安委員会が認定した自動車教習所で、仮免許取得までをすることができ、さらに運転免許センターでの技能試験が免除される点がメリットです。
もう一つの方法が、自動車教習所などには通わず、運転免許センターまたは試験場で試験を受けるというものです。俗に一発試験と呼ばれています。こちらの場合、適性試験、仮免学科試験、仮免技能試験、本免学科試験、本免技能試験などの試験を受けなければなりません。
教習所や自動車学校に通い免許を取得すると、その費用は20~35万円ほどかかります。しかし、一発試験であれば、数万円で免許を取得できます。一発試験は、主に運転免許証の更新期限を過ぎて免許が失効してしまった方や、自動車教習所に通う時間や費用を節約したい方が利用します。
ただし、一発試験は合格率が低いというデメリットがあります。初めての免許取得であれば、運転をするうえで必要な基本的な知識や技術を身につけるために、自動車教習所や自動車学校に通ったほうが安心でしょう。
小型特殊免許や原動機付自転車の場合は、自動車教習所や自動車学校に通わずとも、運転免許センターで適性試験と学科試験を受けたあと、乗り方の講習を受けるだけで運転免許証が交付されます。
免許取得のための受験費用
自動車教習所や自動車学校に通うための費用と、運転免許を取得するためにかかる費用は別ものです。運転免許を取得するためには、居住している都道府県の運転免許試験場で費用を支払う必要があります。
例えば、東京都にお住まいの方は、府中運転免許試験場または、鮫州運転免許試験場が受験場所です。
以下、参考として府中運転免許試験場で第一種運転免許と第二種運転免許を取得するためにかかる費用を紹介します。
第一種普通自動車免許の受験費用
第一種普通自動車免許の受験費用は、指定教習所を卒業した場合と一発試験の場合で必要な費用が異なります。
指定教習所卒業 | 一発試験 | |
---|---|---|
仮免許受験料 | − | 2,900円 |
本免許受験料 | 1,750円 | 2,550円 |
試験車使用料 | − | 2,250円 |
免許証交付料 | 2,050円 | 3,200円 |
取得時講習費用 | − | 15,400円 |
合計 | 3,800円 | 26,300円 |
指定教習所では、仮免許試験や卒検を教習所で受けることができ、卒業すると免許試験場での技能試験が免除になります。そのため、仮免許受験費用や試験車使用料などは不要なため受験費用は一発試験と比べ安くなります。
また、再試験の場合は、その都度受験料と試験車使用料(一発試験の場合)がかかります。
第二種普通自動車免許の受験費用
第二種普通自動車免許の受験費用も第一種普通自動車免許の受験費用と同様に指定教習所を卒業した場合と一発試験の場合で必要な費用が異なります。
指定教習所卒業 | 一発試験 | |
---|---|---|
本免許受験費用 | 1,700円 | 4,800円 |
試験車使用料 | − | 2,850円 |
免許証交付料 | 2,050円 | 2,050円 |
取得時講習費用 | − | 27,000円 |
合計 | 3,750円 | 36,700円 |
第二種普通自動車免許には、仮免許試験がない点が第一種普通自動車免許との大きな違いです。
なお、第二種普通自動車免許に関しても、再試験の場合はその都度受験料と試験車使用料(一発試験の場合)がかかります。
今回は運転免許の種類と免許の取得方法についてご紹介しました。これから免許を取得し、車を購入する予定がある方は、運転する前に自動車保険の加入も併せて検討してください。
本記事の情報は2024年1月時点での内容です。
監修:木下 隆之
明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務。独立後、プロレーシングドライバーとして活躍。全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。雑誌にも11本の「連載エッセイ」に執筆。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。