車の名義変更の方法と費用について。譲渡や結婚したときにも必要!

2023年10月18日

結婚したときや車を譲り受けたとき、または譲渡したときなどには、車の名義の変更手続きを行います。車の名義変更は自分でも簡単にできますので、名前や住所が変わったときには速やかに変更手続きを行いましょう。ここでは、車の名義変更の方法や費用についてご紹介します。

車の名義変更をするのは
どんなとき?

はじめに、車の名義変更が必要になるのはどのようなときなのか見ていきましょう。

車を譲渡したとき・されたとき

販売店を通しての売買ではなく、個人間で売買したときや親類や知人などに車を譲ったとき、または譲り受けたときには、名義変更を行わなければなりません。

車を相続したとき

相続人として、親などから車を相続した場合にも名義変更が必要です。相続人が単独なのか複数なのかによって必要な書類は異なりますが、相続による名義変更には主に遺産分割協議書、相続人の戸籍謄本、相続人の印鑑証明書などを用意する必要があります。

ローンが終了したとき

車のローンを組んだ場合、車の所有者は使用者ではなく車を販売した会社になっています。自動的に名義変更は行われないため、ローンを完済した後は所有権を解除し名義変更を行いましょう。使用者である自分が所有者になっていないと車の売却もできないため、ローン完済後すぐに車を入れ替える場合には、車の売却と同時に名義変更を行うことになります。

その他

名義変更以外でも、車検証の内容の変更が必要な場合があります。結婚や離婚などで名字が変わったとき、引っ越しによって住所が変わったとき、市町村合併で住所が変わったときなどで、これらは次の項目で説明する「変更登録」に該当します。名義や車検証の内容を変更する際には、運輸支局または軽自動車検査協会で手続きを行いましょう。

車の名義変更に必要な書類と
変更の流れ

車の名義変更は正式には「移転登録」といいます。移転登録の場合、所有者欄を変更する必要があります。使用者欄だけを変更する場合には、「変更登録」となります。いずれにせよ、車検が切れてしまっている場合には手続きできません。車検が切れてしまっている車の名義変更を行う際には、名義変更の前に車検を取る必要があります。

ここからは、車の名義変更に必要な書類と、変更手続きの流れについてご紹介します。

必要書類

普通自動車の名義変更を行う際には、現在の所有者と新しい所有者のそれぞれが書類を用意します。国土交通省の情報をもとに以下にまとめました。

現在の所有者

①自動車検査証 車検証の正式名称
②印鑑証明書 発行から3ヶ月以内のもの
③譲渡証明書 印鑑証明書の印鑑を押したもの
④印鑑 印鑑証明書の印鑑
代理人申請の場合は、印鑑証明書の印鑑を押した委任状

新しい所有者

⑤印鑑証明書 発行から3ヶ月以内のもの
⑥車庫証明書※1 現住所を管轄する警察署で発行(車庫証明適用地域)
発行からおおむね1ヶ月以内のもの
※1

使用の本拠の位置が変更になる場合に限り必要

⑦印鑑 本人の場合は 印鑑証明書の印鑑
代理人申請の場合は、印鑑証明書の印鑑を押印した委任状
⑧申請手数料 検査登録印紙代500円

現在の所有者が用意するのは、基本的に車検証と実印、印鑑証明書、譲渡証明書の4つです。車を使用する本拠地が変わる場合、新しく車の使用者となる人は、名義変更の前に車庫証明を取っておく必要があります。また、車検証の住所が変更になっている場合は住民票も必要となります。

新しい所有者と使用者が異なる場合、使用者になる人は以下の書類を用意してください。

新しい使用者

①住民票 発行から3ヶ月以内のもの(印鑑証明書も可)
②印鑑 認印で可
③車庫証明書 新しい使用者のものが必要
発行からおおむね1カ月以内のもの
この場合、新所有者の車庫証明書は不要

新しい使用者は、住民票か印鑑証明書、印鑑、車庫証明書を提出します。所有者と使用者が異なる場合、新しい所有者は車庫証明を取得する必要はありません。

手続きの流れ

新しい使用者は、まず警察署で車庫証明を申請し取得します。次に、現在の所有者、新しい所有者、場合によっては新しい使用者それぞれが、名義変更に必要な書類を用意してください。必要書類をそろえたら、申請書類を作成します。申請書類は、申請時に運輸支局で直接作成しても問題ありませんが、事前に運輸支局で書類を受け取っておき、必要事項を記入しておくと手続きがスムーズに進みます。

名義変更の手続きに行く前に、手続きに必要な費用も用意しておきましょう。登録印紙代と、ナンバープレートの変更も行う場合にはナンバープレート代も必要です。さらに、自動車取得税がかかる場合もあります。名義変更を代行してもらった場合には、代行費用もかかる点に注意しましょう。

各種書類と費用を準備したら、いよいよ名義変更です。所轄の運輸支局へ行き、手続きを完了させましょう。

変更にかかる費用

名義変更に必要な書類である住民票や印鑑証明書は、発行の際に1通あたり数百円かかります。ナンバープレート代は地域によって差があるものの、普通自動車なら1,500円程度(希望ナンバーの場合4,000円~、ご当地ナンバーの場合には7,000円~)必要です。

車庫証明書の取得には2,500円~3,000円程度、移転登録料には500円かかります。住民票、印鑑証明書、ナンバープレート代は地域によって異なりますので、事前に市町村窓口や管轄の運輸支局に問い合わせてみましょう。

名義変更の手続きにかかる日数

名義変更の手続きは、書類さえそろえておけば1日で完了します。譲渡証明書など、運輸支局で受け取る書類の記入にもさほど時間はかかりません。問題は、名義変更に必要な書類をそろえるための時間です。

印鑑証明書や住民票を取得するのは、自治体の窓口です。そのため、平日の昼間しか受け取れず、仕事の都合でなかなか窓口に行けないこともあるでしょう。また、車庫証明の取得には数日を要します。

車庫証明の取得について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

自分でも簡単に取れる?車庫証明の取り方と注意点を解説!

旧所有者からの書類が届かず、手続きが思ったように進まないこともあります。これらのことをふまえ、名義変更を行う際には早め早めに行動することをおすすめします。

名義変更に必須の「委任状」の概要と
記載方法

名義変更の際、上記の必要書類で紹介した委任状が必要になります。車の販売店などに名義変更を任せる場合は委任状を販売店で備え付けている場合が多いので自分で準備する必要はありませんが、個人間で売買や譲渡を行った場合には必須となります。自分で名義変更を行う場合、申請手続きを行う受任者が自分、元所有者が委任者となります。元所有者が手続きをする場合、受任者が元所有者で委任者が自分になります。第三者が手続きを行う場合には、元所有者と新しい所有者が委任者、手続きを行う第三者が受任者となります。

委任状の書き方は以下の通りです。

車の名義変更時の委任状記入例
  • 赤枠Aには、受任者の住所と名前を記載します。
  • Bの空欄に、所有者名義変更の場合は「移転登録」と記載してください。そのほか変更登録(氏名や住所、使用者などの変更)、抹消登録(使用をやめる場合)など、申請の内容によって記入内容が変わります。
  • Cには、車検証に記載された登録番号、または車台番号を記載します。
  • Dに委任者の情報を記載し、押印※2します。
※2

前所有者と現所有者以外の第三者が手続きを行う場合は、両者の住所・氏名の記入と実印の押印が必要です。また、印鑑証明書も必要となります。

軽自動車の場合

軽自動車の名義変更は、普通自動車の名義変更と必要なものが異なります。

必要な物
車検証
新しい使用者の印鑑
新しい所有者の印鑑
住民票の写しまたは印鑑証明書の写し
旧所有者の印鑑
ナンバープレート(管轄に変更がなければ不要)
自動車検査証記入申請書
軽自動車税申告書
自動車取得税申告書

軽自動車の名義変更の申請手数料は無料です。また、軽自動車の申請には車庫証明書は不要ですが、名義変更申請後に新しい車検証を警察へ届出することが必要です(一部不届出が不要な地域もあります)。印鑑は実印ではなく、認印も可能です。変更手続きは、軽自動車検査協会で行います。

車の名義変更をしたとき、
保険はどうする?

車の名義を変更した際には、自動車保険の内容の確認が必要です。契約者や所有者、主に運転される方に変更がないか確かめましょう。車の名義変更による自動車保険への対応について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

  1. いままで自動車保険に入ったことがない方は新規に自動車保険に加入しましょう。
自動車保険に新規加入する際に、確認すべきポイントは?
  1. 新しいお車に買い替えた際、忘れてはいけないのが自動車保険の補償の対象となるお車の変更(車両入替)手続きです。
自動車を買い替えたときの自動車保険の手続きと注意点
  1. 補償の対象となるお車を子供や配偶者に譲った場合は、補償の対象となるお車の所有者の変更が必要となります。

あわせて主に運転される方(記名被保険者)も変わる場合は、記名被保険者も変更する必要があります。

自動車保険の名義変更が必要なのはどんなとき?覚えておくべきポイントを解説

また、車検がついた車両を譲り受けた場合には、自賠責保険の名義変更も必要です。

本記事の情報は2023年9月末時点での内容です。

監修:渡邊 裕砥

ファイナンシャルプランナー、心理カウンセラー。 株式会社エルティヴィー執行役員。保険会社や保険代理店向けのコンサルティングや保険のプロ向けの教育研修を中心に活動中。